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DXコラム

2023年版 ものづくり白書

「ものづくり白書」は、ものづくり基盤技術振興基本法に基づく法定白書であり、令和5年6月発表分で23回目の白書になります。ものづくりに関する基礎的なデータと、その年の課題や政府の取組の掲載と、ものづくり復興施策集の掲載の2部構成でできています。
(経済産業省・厚生労働省・文部科学省の3省が共同で作成している)

 近年の「ものづくり白書」には製造業とDXに関する内容も増えてきています。
2023年(概要版)の白書メッセージとしてあげられているのは、
・現場の強みを活かしつつ、サプライチェーンの最適化に取り組み、競争力強化を図ることが必要。
・※GX(グリーントランスフォーメーション)の実現にも不可欠となる、DX(デジタルトランスフォーメーション)に向けた投資の拡大・イノベーションの推進により、生産性向上・利益の増加につなげ、所得への還元を実現する好循環を創出することが重要。
(経済産業省・厚生労働省・文部科学省 2023版ものづくり白書より)
この2点を伝えています。

 事前予測が困難な事象が発生するなかで、調達先の把握や生産拠点の変更・拡充に対応するためにも、サプライチェーンの強靭化が必須となりますが、現在の日本では企業間のデータ連携・可視化の取組ができている製造業者は2割程度。それに比べ、海外は企業の枠を超えた最適化を実現しています。そこだけ比べても日本は出遅れていると言えます。


エネルギー価格の高騰や地球温暖化という世界共通の課題から、我が国も2022年に「GX実行会議」を立ち上げ、今後10年を見据えた取り組みの方針をとりまとめました。GXへの取組は日本だけでなく、諸外国も2030年を目標に脱炭素に関する具体的目標を掲げています。

2022年の我が国のデジタル競争ランキング(スイス国際経営開発研究所実施)は過去最低の29位。「ビックデータの活用と分析」「企業の敏捷性」「人材の国際経験」「機会や脅威に対する反応」の項目で最下位でした。日本はデジタルを推進しているように感じますが、世界にはまだ追いつけていないのが現実のようです。

 このコラムを読んでいる方の中には、毎年チェックされている方や、すでにご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、私は初めてこの白書が発行されていることを今回知りました。(ものづくり白書全体版にも目を通しましたが、ボリュームが多かったので、概要を参考にこのコラムを執筆しました。)
これからの製造業は、人材教育やGXなどにも力を注ぎ、さらなる変革が必要なようです。自社に合うDX推進にさらに力を注いでいきたいものです。

※GX(グリーントランスフォーメーション):化石エネルギー中心の産業構造・社会構造をクリーンエネルギー中心へ転換すること、脱炭素化など

経済産業省・厚生労働省・文部科学省:2023年版ものづくり白書(概要)

                 :2023年版ものづくり白書(全書)