株式会社 スクラムソフトウェア

DXコラム

中小製造業のDXとこれから

2018年に経済産業省から「DXレポート」が発表され、日本の企業にとって「デジタル変革」が避けて通れない課題であることが広く認識されるようになりました。とくに、中小規模の製造業においては、少子高齢化による人手不足や熟練工の引退といった現実を前に、DX(デジタルトランスフォーメーション)はもはや選択肢ではなく「生き残りの条件」とも言える存在となりつつあります。

この数年間で、現場の風景は少しずつ変わり始めました。従来は紙の作業日報や手書きの管理表に頼っていた製造現場も、今ではタブレットでの入力や、クラウドを活用した在庫・生産管理に取り組む企業が増えてきています。小規模ながらもセンサーやIoTを導入し、機械の稼働状況をリアルタイムで把握して生産効率を向上させている例も見られます。こうした変化は、「中小企業でもDXはできる」「無理なく始められる」という意識の芽生えを示す好例です。
さらに、国や自治体による支援策も後押ししています。補助金などを活用すれば、初期コストを抑えながら新しいシステムや機器を導入することが可能です。「自社だけでは無理」と諦めていた企業にも取り組みやすい環境が整いつつあります。

一方で、課題が解消されたわけではありません。特に大きいのは「人材不足」です。製造業の現場には、ITやデジタルに強い人材がまだまだ少なく、システムを導入しても使いこなせなかったり、運用が属人化してしまったりするケースが多く見られます。そもそも「何から始めたら良いのか分からない」という企業も少なくなく、DXが「かけ声倒れ」で終わるリスクも依然として存在しています。
また、経営層の意識も分かれ道になります。「現場が勝手にやっている」「担当者に任せきり」という姿勢では、DXは根付きません。むしろ、経営者自らが「今のやり方を続けると10年後は会社が立ち行かなくなるかもしれない」という危機感を持ち、全社を巻き込んで取り組む覚悟が必要です。DXは単なるIT導入ではなく、「事業のあり方を変える改革」です。業務を効率化するだけでなく、新たなビジネスモデルやサービスを創出する力へとつなげていく必要があります。

DXレポートから約6年。日本の中小製造業は、「デジタル後進国」から「変革期」に入りつつあります。課題は山積みですが、確実に動き出している企業も増えてきました。これからの競争を生き抜くために、まずは「できることから始める」ことが何より重要です。現場の知恵と経営の意思が融合すれば、中小製造業の未来はまだまだ明るいと言えるでしょう。